感染症学雑誌
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胃壁中のCampylobacter pyloriの同定法の検討と血中抗菌抗体価の測定
横田 憲治小熊 恵二吉田 博清高山 義一杉山 敏郎矢花 剛谷内 昭榑林 陽一磯貝 浩磯貝 恵美子
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1990 年 64 巻 5 号 p. 597-603

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抄録

Campylobacter pyloriの胃内存在を明らかにするため, 1) 培養法, 2) モノクローナル抗体を用いた免疫組織染色法, 3) ウレアーゼを利用した簡便法の3法について,胃炎,潰瘍などの疾患群とコントロール群とで比較検討した.
疾患群では, 3法の菌検出率はそれぞれ64%, 75%, 74%であったが, 3法ともに陽性の例は48%であった.培養法と簡便法の一致率は81%(コントロール群を入れると83%) であったが,培養法と染色法の一致率は60%(コントロール群を入れると57%) であった.これらのことより,簡便法は有用な方法であること,また,菌の存在を確認するためには, 3法を併用することが重要であることが判明した.培養法か染色法で菌の存在が,確認されたものを合計すると,疾患群では77%,コントロール群では31%であり,明らかに疾患群で高かった.
全菌体を用いた酵素抗体法により,患者抗体価の測定を行ったところ,培養陽性者と陰性者とのあいだでは有意な抗体価の差が認められた.しかし,胃潰瘍の程度などによる差はなかった.

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