1990 年 64 巻 5 号 p. 625-629
症例は46歳, 男性.AML (M2) のため入院し, 抗悪性腫瘍剤により一旦寛解に達したが, 抗生剤に不応性の発熱が持続し, 肝腫大と右季肋部鈍痛が出現した.また腹部CTにて肝に多発性のlow densityareaを認めた.以上の所見から真菌性肝膿瘍を疑った.Amphotericin Bの全身投与を開始したが解熱しないため確定診断のため開腹肝生検を施行した.その結果, 組織の一部に真菌の菌糸を認めたために真菌性肝膿瘍と診断した.開腹の際, 門脈内tubingを施行し, Amphotericin Bの門脈内投与を開始した.その結果, 3ヵ月後には腹部CT及び腹部エコー所見そして炎症所見の改善をみた.AmphotericinBの門脈内投与が著効したと思われた.