感染症学雑誌
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尿中抗菌薬濃度自動シミュレーター装置を用いたIn Vitroにおける実験的複雑性膀胱炎治療の検討
西村 昌宏熊本 悦明渋谷 秋彦広瀬 崇興塚本 泰司大屋 哲
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1990 年 64 巻 8 号 p. 1004-1012

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抄録

抗菌薬を投与した場合の経時的な尿中濃度をコンピューター制御により自動でシミュレートし得る腎-膀胱モデルを作成し, Onoxacinを用いてin vitroにおいて複雑性膀胱炎の問題点を検討し以下の結果を得た.
1) 尿路の病態の複雑性が高まるに従い除菌に要する時間が延長する事が判明した.
2) 尿流停滞の著しい高度複雑性膀胱モデルにおいては, OFLXの大量投与にもかかわらず異物表面のbiofilmの存在により再燃を認める事実をin vitroで証明した.
3) 除菌に要する時間は抗菌薬の投与量が増加するに従って短縮する傾向であった.
4) 細菌の再増殖開始までの時間は抗菌薬の投与量が増加するに従って延長する傾向であった.
5) 複雑性膀胱炎の治療に際しては, 尿流停滞をきたす基礎疾患の程度によって難治性が左右されることがin vitroの実験で明らかにすることができた.

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© 日本感染症学会
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