感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
唐津, 東松浦地区における疾患別抗ATLA (adult T-cell leukemia-associated antigen) 抗体調査
諸藤 美樹梶山 渉中島 孝哉野口 晶教林 純柏木 征三郎隅田 郁男花田 基典
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 64 巻 8 号 p. 1013-1018

詳細
抄録

九州地方は, HTLV-IのEndemicareaとされているが, その中でも佐賀県は, 比較的陽性率の低い地域と報告されていた.今回, 佐賀県北部の唐津, 東松浦地区における抗ATLA抗体陽性率を検討するため, 1985年9月から10月にかけ唐津赤十字病院を受診した患者757例を対象とし, 抗ATLA抗体をEIA法により測定した.
1. 全患者の抗ATLA抗体陽性率は, 13.7%(757例中104例) で陽性率は加齢と共に上昇し, 60~69歳で最高の21.1%に達した.
2. 性別の陽性率は, 男性9.6%, 女性17.8%と有意に女性が高率であった (p<0.001).
3. 悪性腫瘍患者を除く患者の居住地別陽性率は, 玄海灘に面する鎮西町, 肥前町, 浜玉町が高く, 沿岸部と山間部の比較では, 有意に沿岸部が高かった (p<0.001).
4. 疾患別では, 新生物が26.1%と最も高率で, ATLが100%, ATL以外の悪性腫瘍でも, 25.9%と高く, HTLV-I感染がATLのみならず, 他臓器癌とも関わっていることが示唆された.

著者関連情報
© 日本感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top