感染症学雑誌
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高度複雑性膀胱感染実験モデルによるclarithromycin (CAM) のBiofilm形成抑制効果の研究
尿中抗菌薬濃度自動シミュレーターを用いたin vitroにおける検討
佐野 正人熊本 悦明西村 昌宏広瀬 崇興塚本 泰司大屋 哲
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1994 年 68 巻 11 号 p. 1306-1317

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抄録
Clarithromycin (CAM) の抗Biofilo作用の機序として, Biofiloの主成分であるGlycocalyxの産生抑制作用もしくは溶解作用が考えられるが, その詳細は明らかではない.
そこで今回, 我々は既に報告している尿中抗菌薬濃度自動シミュレーター付き高度複雑性膀胱感染実験モデルを用いて, CAMのBiofilm形成抑制効果について実験的に検討を行い, 以下の成績を得た.
1) P. aernginosaに抗菌力を有するciprofloxacin (CPFX, MIC: 8μg/m1) をBiofilmを形成させていない状態から単独作用させた. この場合, モデル膀胱内の細菌は一見除菌されたが, 抗菌薬の影響を除くと再増殖を開始した. またBiofilmの形成が経時的に認められ, これが再増殖の原因と考えられた.
2) P. aeruginosaに抗菌力は有さない (MIC: 128μg/ml以上) が, 抗Biofilm作用を有するCAMを, Biofiloを形成させていない状態から, 単独作用させた場合は, 細菌濃度は48時間以内に初期濃度に達した. しかし, モデル膀胱憩室内のガラス玉表面には, 多数の細菌が付着していたが, Biofiloは形成されていなかった.
3) CPFXとCAMの併用作用では, モデル膀胱内の細菌は除菌され, 抗菌薬の影響を除いても再増殖を認めなかった. また, Biofiloは形成されておらず, 細菌の付着も認めなかった.
4) 抗菌薬作用時に緑膿菌Blofiloの主成分であるアルギン酸量を経時的に測定すると, CAM単独作用の場合は, アルギン酸量は5, 7日目では測定限度以下となった.
5) 以上の結果より・CAMの抗Biofilm作用機序として, Glycocalyxの産生抑制作用の可能性が考えられた.
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© 日本感染症学会
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