感染症学雑誌
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MRSA敗血症の背景因子と治療成績の検討
レシャード カレッド田中 文啓関根 隆前迫 直久益井 加世子岡 喜之介狩野 京子
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1994 年 68 巻 2 号 p. 171-176

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抄録

1983~1991年に94例の黄色ブドウ球菌による敗血症を経験し, MSSA48例とMRSA46症例の背景因子や治療成績に関して報告した. 両群間の年齢には差はなく, 何れの群においても60歳以上の高齢者が多く, 基礎疾患として悪性新生物, 脳血管障害, 血液疾患が多く, 免疫能低下状態にあった. 感染進入部位としては血管内操作特にIVHカテーテルによるものが大半で, 呼吸器感染症もそれに次ぐ要素であった. MRSA感染症の背景因子としては菌検出以前に使用されていた抗生剤の寛容が重要で, MSSA症例の41%, MRSAの91.3%に使用され, とくに第三世代のセフェム系抗生剤がその大部分を占め, 使用期間および種類もMSSA群に比して多かった. 治療成績では, MSSAの治癒率は52.1%に比して, MRSAのそれは26.1%と有意に低かった. 以上のことから, MRSA感染症の背景因子として抗生剤の使用頻度, 種類, 期間などが重要であり, 日常臨床の場においてその使用を慎重且つ適切に行うべきであると強調した.

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