感染症学雑誌
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臨床分離緑膿菌の抗緑膿菌薬によるserotypeの変化と生物学的性状, 薬剤感受性および外膜蛋白の関連性について
小林 寅哲長谷川 美幸西田 実
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1994 年 68 巻 2 号 p. 183-190

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抄録

臨床分離P. aeruginosaのうち, その一部の分離菌は抗緑膿菌薬により, in vitroでserotype variantを生成する. この種のvariantのpyocin type, 各種の生化学的性状および薬剤感受性を, それぞれのparentと比較した. またそれらの一部について, outer membrane protein構成量の変化をSDS-PAGEで観察し, 薬剤感受性との相関性を検討した.
同一の臨床材料より, 同時に分離されたP. aeuruginosa No.1-S (serotype E) とNo.1-R (serotype C) は抗緑膿菌薬により, 全く異なったserotype variantを生ずるが, さらにpyocin type, 生化学的性状および薬剤感受性の変化をともなう. 両者のこれらの変化の内容には極端な相違がみられた. またPaeruginosa No.1-Rのparentと2種類のvariantのouter membrane proteinのSDS-PAGE法における量的変化は, それらの薬剤感受性とは良く対応した.
P. aeruginosa臨床分離菌No.13は, 各抗緑膿菌薬によりparent (serotype A) とserotypeの異なる8種のvariantを生じたが, serotype Mに変化した4種のvariantおよびnon-typableとなった1種のvariantでは生化学的性状の変化はなく, IPMにのみ耐性化した. 他の3種のvariantでは, いずれも2種類の生化学的性状が変化し, 薬剤感受性にも著しい変化がみられた. また, これらのvariantのそれぞれのouter membrane proteinの構成量は, 一部を除きparentと比較して, 薬剤感受性の変化と比較的よく対応した.

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