感染症学雑誌
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救命救急センターにおける深部真菌感染症の把握と血清 (1→3)-β-D-glucan値の臨床的意義
川山 智隆大泉 耕太郎
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1999 年 73 巻 8 号 p. 743-748

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抄録

救命救急センターにおける深部真菌感染症の実情の把握と深部真菌感染症における (1→3)-β-D-glucanの有用性について検討した.1996年7月から1997年7月の1年間にセンター入院患者で発熱を有した92例 (平均年齢54.5歳, 男/女=70/22) を対象とした.発熱時に得られた160検体について血液培養, 血中 (1→3)-β-D-glucan値およびカンジダ抗原価を測定した。
臨床的に深部真菌感染症と診断されたのは92例中17例 (18.5%) で汎発性腹膜炎10例, 敗血症5例, 肺炎1例, 膿胸1例であった.
深部真菌感染症群から得られた検体において血液培養, 血清 (1→3)-β-D-glucan値およびカンジダ抗原価の陽性率は, それぞれ52検体中10検体 (19.2%), 52検体中45検体 (86.5%) および40検体中6検体 (15.0%) であった.
血清学的検査法では血清 (1→3)-β-D-glucan値の感度および特異性は86.5%および93.8%でカンジダ抗原価の15.0%と13の%に比較して優れていた.
以上の結果から深部真菌感染症は救命救急センターにおいて比較的多くみられ, そのスクリーニング法として血清 (1→3)-β-D-glucan値測定が臨床的に有用と考えられた.

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