感染症学雑誌
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北九州市における溶血レンサ球菌感染症の流行
原因菌の分離状況および性状 (1994年-1997年)
加野 成明木村 尚志
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2000 年 74 巻 6 号 p. 511-517

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抄録

1994年9月から1997年12月まで, 3年4カ月にわたり, 市内の医療機関の協力を得て溶血レンサ球菌の流行状況を調査した. その結果, A群溶血レンサ球菌分離数の季節的動向および年齢別分布は, 結核・感染症サーベイランス事業で把握された北九州市の溶血レンサ球菌感染症の患者情報の動向と非常によく一致していた. 本市におけるA群T血清型の主な流行型は, 1994年と1995年はT-12次いでT-3, 1996年はT-28とT-12次いでT-6, T-1, 1997年はT-2とT-4次いでT-1であった。全国集計と比較すると本市では本州にやや遅れて流行する傾向がみられた。
10種類の抗生物質について薬剤耐性試験を行った結果, ほとんどの分離株がkanamycin (KM) 耐性であった. また, tetracycline (TC) 耐性菌が14%にみられた. 一部の多剤耐性菌を除けば, 他の薬剤についての耐性菌はあまりみられなかった.
PCR法によりSPE遺伝子の検出を行った結果, A群のすべての株にspeBが検出された. T血清型は, 保有SPE遺伝子によりおよそのタイピングが可能であった。

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