感染症学雑誌
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リコンビナント抗原および合成ペプチドを用いたSTRIP IMMUNOBLOT ASSAYによるHIV-1/HIV-2抗体の測定
出口 松夫山下 順香鍵田 正智浅利 誠志柳原 武彦
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2001 年 75 巻 5 号 p. 371-381

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抄録

一般的なHIV感染の血清学的診断はHIV抗体スクリーニング検査と確認検査によって実施されている. 現在, 確認検査は主にWestern blot (WB) 法によって行われているが, 鋭敏度や特異度が十分でない. 最近, Chiron社によって開発された新しいHIV-1/HIV-2抗体検出用試薬はStrip immunoblot assay (SIA) を測定原理とし, 4種類のリコンビナント抗原と1種類の合成ペプチド抗原が固相されている. 我々はこのSIA法とWB法との比較測定を行うことにより, SIA法の血清学的診断法としての有内性を検討した.
スクリーニング検査が陰性のHIV非感染者におけるSIA法, WB-1法, WB-2法およびWB1/2同時測定時の陰性率 (特異度) は97.5%, 80.0%, 87.5%および70.0%であった. また, スクリーニング検査が陽性のHIV非感染者における各測定法の陰性率 (特異度) は97.5%, 72.5%, 85.5%および62.5%であった.一方, スクリーニング検査が陽性のHIV-1感染者におけるSIA法およびWB-1法の陽性率 (鋭敏度) は97.5%および75.0%であった.また, スクリーニング検査が陽性のHIV-2感染者におけるSIA法とWB-2法の陽性率 (鋭敏度) は100%および92.3%であった. さらに, 抗体セロコンバージョン期 (感染初期) において経時的に採取された3症例を用いて, SIA法とWB-1法の陽性時期を比較したところ, SIA法はWB-1法に比して早期に陽性化した.
以上の結果より, SIA法は特異的および鋭敏性に優れ確認検査法として有用性が高いと思われた.

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