感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
沖縄県で分離された山羊由来Vero毒素産生性大腸菌の細菌学的性状と薬剤感受性
又吉 正直中澤 宗生
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 76 巻 1 号 p. 51-55

詳細
抄録

1996年~1998年に沖縄県内における健康成山羊のVero毒素産生性大腸菌 (VTEC) の保菌実態調査を実施し, 分離菌について細菌学的性状と薬剤感受性を調べた. VTECの分離率は25農場, 116頭由来, 1, 361株の大腸菌のうち, 13農場 (52.0%), 36頭 (31.0%) 由来204株 (15.0%) であった. 無作為に選んだ88株について各種性状を精査した結果, VT型はVT1産生: 41株 (46.6%), VT2産生: 6株 (6.8%), VT1+VT2産生: 41株 (46.6%) であり, O群型はO1, O6, O22, O27, O48, O75, O76, O77, O78, O82, O91, O103, O111, O123, O125, O128, O146, O158, Rough型 (9株) および型別不能であった. eaeA遺伝子はO103とO111の5株 (5.7%) で, hlyAは45株 (51.1%) で検出された. 生化学的性状は大腸菌の定型的性状を示したが, 一部の株でソルビット分解 (-), リジン脱炭酸 (-) などの性状を示した. 薬剤感受性試験ではSM, ABPC, KMおよびOTCに耐性の傾向が認められたが, GM, CP, CL, FOM およびSTには極めて高い感受性があった. 今回の成績から健康な山羊が高率にVTECを保菌していることが判明し, 人の腸管出血性大腸菌感染症の感染源になる可能性も示唆された.

著者関連情報
© 日本感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top