感染症学雑誌
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Candida albicansに対するamphotericin Bの抗菌活性に及ぼす薬剤希釈法の影響
大島 智恵宮川 洋三渡邉 タミ子大山 建司
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2003 年 77 巻 1 号 p. 29-33

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抄録

小児の真菌感染予防及び治療に使用されるamphotericin Bシロップ (以下, AMPH) は, 内服が困難であるため, ジュースで稀釈する等の工夫がされている. そこで, AMPHを稀釈する際の稀釈液の違いが抗菌活性に与える影響を試験管内 (in vitro) で検討した. ヤクルト等6種の希釈液, または蒸留水によりAMPHを各々2倍希釈したものに, Candida albicans菌液を添加, 30分間放置後の残存生菌率を測定した. その結果, 蒸留水 (60%) と比べ, ヤクルト136% (P<0.01), オレンジ. ジュース 104% (P<0.01), コーヒー牛乳92% (P<0.01) と有意に高値であった. 一方, ガムシロップ, 炭酸ジュース, かき氷シロップの3種では, 各々54%, 76%, 52%と蒸留水と有意差を認めず, 抗菌活性が保持されたことから, これら3種が稀釈液として有効であることが示唆された. 今回の結果から, 臨床の現場で患児にAMPHを安楽に内服させようとする行為が, 方法によっては抗真菌効果を低下させ, 感染予防という本来の目的に逆行してしまう可能性が強く示唆された.

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