感染症学雑誌
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サイトメガロウイルス抗原血症および感染症の診断における抗サイトメガロウイルスpp65抗体と細胞診手技の有用性
江村 巌
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2006 年 80 巻 5 号 p. 501-506

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抄録

細胞診手技を用い発熱消化器症状等を示す157名の入院患者から提出された275件の末梢血 (PB) 中のサイトメガロウイルス (CMV) pp65抗原陽性細胞 (pp65+細胞) の検出を試み, CMV感染症と診断した8例の生検標本中のpp65+細胞についても検討した. 76件について同一材料を用い外注先の結果と比較検討した. 著者等の方法で164検体の末梢血検体にpp65+細胞を認め, 内83検体 (50.6%) では1スライド中のpp65+細胞数が10個未満であった. 我々と外注先の結果の問には強い相関を認めたが (r=0.844), 外注先の結果では我々の方法で1スライド中に10個未満のpp65+細胞を認めた21検体中18検体 (85.7%) でpp65+細胞を認めなかった. これは外注先の方法は我々の方法に比し検索細胞数が少なかったためと推定した. 8例の生検標本中にはowl's eye細胞以外にも多数のpp65+細胞を認めた. 著者等の細胞診手技を用いた方法は好中球が減少した患者を含めCMV抗原血症の早期診断CMV感染症の治療の開始と終了の判断等に, 抗pp65抗体を用いた免疫染色は組織標本中のCMV感染細胞の検出に有用と考えられた.

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