2005 年 46 巻 3 号 p. 133-141
症例1は68歳女性. 高脂血症にて1999年12月よりpravastatinの投与を受け, 2000年3月AST268IU/l, ALT247IU/l となった. 当科受診時抗核抗体640倍, IgG2,160mg/dl であり, 肝生検を施行し自己免疫性肝炎 (AIH) と診断した. Pravastatin中止後速やかに改善した. 症例2は62歳女性. 2002年6月AST50IU/l, ALT63IU/l, 総コレステロール272mg/dl であり, 7月よりpravastatinの投与を受けた. 同年8月AST859IU/l, ALT1,170IU/l, 総ビリルビン9.7mg/dl となり, 当科入院時抗核抗体1,280倍, IgG1,440mg/dl で, 肝生検にてAIH急性増悪の所見であった. Pravastatinを中止し, さらにプレドニゾロンを投与し寛解した. 両症例ともにpravastatinがAIHの発症または顕性化に関与した可能性が示唆された.