肝臓
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症例報告
LamivudineおよびAdefovir治療により肝細胞癌の治療反復が可能であったB型非代償性肝硬変の1例
児玉 美千世北本 幹也中原 英樹福田 康彦大石 和佳森 奈美松本 明子鬼武 敏子今川 勝茶山 一彰
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2005 年 46 巻 5 号 p. 262-269

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抄録

症例は59歳, 男性. B型非代償性肝硬変で, S3に25mm, S5に10mm, S6に8mmの肝細胞癌 (stage III) を合併していた. 肝予備能不良のため肝癌の根治的治療は困難と考えられたため, まずLamivudine 100mgを投与した. Child-Pugh B9点からB7点まで肝機能が改善し, 肝細胞癌に対してablationを施行した. HBV DNAは陰性化したが, Lamivudine投与15カ月後にYVDD変異株が出現した. 18カ月後に, HBV DNAが再陽性しALT上昇を認めたため, Adefovir 10mgを追加し, 肝予備能の悪化は認めていない. Adefovir内服3カ月でHBV DNAは再びPCR法で検出感度以下となった. Lamivudine投与後2.5年を経過しているが, 肝細胞癌に対する治療反復が可能であった.

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© 2005 一般社団法人 日本肝臓学会
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