肝臓
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症例報告
自己免疫性肝炎の経過中に抗セントロメア抗体が陽性化し, Raynaud現象が出現した1例
高橋 敦史大平 弘正斎藤 広信阿部 和道滝口 純子雷 毅佐藤 由紀夫
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2006 年 47 巻 1 号 p. 5-9

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抄録

症例は72歳の女性. 1990年1月, 肝機能障害と黄疸のため当科入院となった. 肝炎ウイルスマーカーは陰性. 抗核抗体が320倍と陽性で, 高γグロブリン血症と肝生検の結果から自己免疫性肝炎 (AIH) の診断でプレドニゾロン, アザチオプリンを投与され肝機能は改善した. 1990年1月入院時の抗核抗体の染色パターンは均一・斑紋 (homogeneous/speckled) 型を示していたが, 1997年1月には抗セントロメア抗体を示す散在性斑紋型に変化し, さらに同年2月からこれまで認められなかったレイノー現象が出現した. この間の肝機能は正常範囲で安定していた. AIHの経過中に抗核抗体の染色パターンが変化した報告はなく, さらにセントロメア抗体の出現後にその抗体と関連が指摘されているRaynaud現象が出現しており, 抗核抗体とその症状の出現の経過を追えた貴重な症例と考られた.

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© 2006 一般社団法人 日本肝臓学会
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