肝臓
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症例報告
愛知県内で捕獲された野生イノシシ摂食後に発症したE型肝炎の4例
清水 裕子山田 雅彦立松 英純石原 誠森田 敬一石黒 義浩片野 義明後藤 秀実高橋 雅春岡本 宏明
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2006 年 47 巻 10 号 p. 465-473

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抄録

愛知県内で捕獲された野生イノシシの肉・内臓を摂食し,約1∼2カ月後にE型肝炎を発症した症例を2005年と2006年に2例ずつ合計4例経験した.いずれも中高年男性であり,3例に飲酒歴を認め1例に薬剤服用歴を認めた.4例いずれも著明な肝逸脱酵素の上昇を示し,2例で劇症化が懸念されステロイドパルス治療を施行,うち1例は血漿交換療法を施行した.分離されたHEV株の遺伝子型はいずれも4型であり,互いに98.8∼99.8%の塩基配列一致率を示すと同時に,最近愛知県内の野生イノシシから分離されたHEV株とも99.1∼100%の一致率を示した.一方,これまでに北海道を中心に他県で分離されている4型HEV株との一致率は85.4%∼89.3%に過ぎなかった.以上の結果より,野生イノシシを感染源とする土着HEVの感染が愛知県内で広がりつつあることが危惧され,感染予防の観点から,早急の感染実態の調査・把握が重要である.

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© 2006 一般社団法人 日本肝臓学会
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