肝臓
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症例報告
5-Fluorouracil投与中に血清トランスアミナーゼ値の変動がないまま門脈圧亢進症と著明に肝予備能の低下をきたした大腸癌肝転移の1例
松丸 克彦石井 耕司和久井 紀貴篠原 正夫永井 英成大塚 由一郎渡邊 正志野中 博子住野 泰清三木 一正
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47 巻 (2006) 8 号 p. 398-404

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抄録

症例56歳男性.大腸癌の手術1カ月後から肝転移に対して5-FU(1500mg/body/週,総投与量76.5g,投与期間18カ月)を用いて動注化学療法を施行した.病巣は縮小傾向にあり有効と判断して治療を継続していたが,18カ月の治療期間中に血清トランスアミナーゼ値の変動は全くなかったにもかかわらず,治療開始6カ月後より,血小板減少,肝予備能の著明な低下,18カ月後には腹水が貯留した.抗癌剤投与を中止したところ肝予備能は速やかに回復し門脈圧亢進症状は改善した.5-FUの長期投与中に血清トランスアミナーゼの変動が全くなくとも肝障害が進行し肝予備能の著明な低下をきたした可能性も否定できないと思われた.大腸癌の肝転移症例に対する化学療法の有用性は確立されつつあるが,このような副作用に留意する必要がある.

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© 2006 一般社団法人 日本肝臓学会
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