肝臓
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原著
中国地方における急性肝炎の疫学的変遷
福本 陽平岸本 幸広前田 直人西向 栄治金藤 英二岡田 克夫内田 靖河野 通盛是永 匡紹池田 弘藤岡 真一西野 謙河野 友彦辻 恵二平松 憲柴田 憲邦児玉 隆浩周防 武昭
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2007 年 48 巻 10 号 p. 484-489

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抄録

2006年開催の第85回日本消化器病学会中国支部例会では,シンポジウム「急性肝炎の疫学的変遷」が行われ,最近の中国地方における急性肝炎の発生動向が報告された.その結果,最近5∼25年間の総計1,815症例の報告では,ウイルス性急性肝炎が約52%で,薬物性肝炎14%,自己免疫性1%,原因不明33%であった.また,山陰地域ではA型急性肝炎が,山陽地域ではC型急性肝炎や薬物性肝炎がより多く発生した.一方,最近の10年間では,急性肝炎は発生総数として約15%減少し,その要因はA型急性肝炎の減少であった.また,原因不明の急性肝炎が増え,薬物性肝炎も増加する傾向にあった.この間のウイルス性肝炎は,成因別にA型急性肝炎に代わりB型急性肝炎の割合が一位となり,C型急性肝炎の割合は変化なかった.すなわち,最近5年間に発生したウイルス性急性肝炎の割合は,HBVが約45%,HAV 25%,HCV 15%,HEV 1%,EBVとCMVとは併せて15%であった.

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© 2007 一般社団法人 日本肝臓学会
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