48 巻 (2007) 12 号 p. 610-615
58歳男性.55歳時に肝細胞癌と診断され,血管内治療や局所治療を繰り返し施行するも制御困難で,57歳時に肝動注化学療法(HAIC)が導入された.HAICにより一時的な抗腫瘍効果が得られていたが,6クール目のHAIC目的に入院した際,タール便を認め,上部消化管内視鏡検査にてVater乳頭開口部よりの血液の流出を認めた.腹部造影CTで右肝管内への腫瘍浸潤を認めたことから胆道出血が疑われた.腹部血管造影では右肝管に一致した部位に腫瘍濃染像を認め,肝動脈塞栓術を施行し,止血を得た.以後,HAICを2クール施行したが7カ月後に肝不全で死亡した.本邦既報告例41例を含めた検討では,胆道出血をきたした肝細胞癌の予後は不良であるが,肝動脈塞栓術は止血に有用であり,止血を得ることで継続した抗癌治療への移行も可能であると考えられた.