肝臓
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原著
各種膠原病における抗ミトコンドリア抗体の検出とその意義
岩澤 絵里子宮川 浩菊池 健太郎新見 晶子原 まさ子鎌谷 直之
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2007 年 48 巻 5 号 p. 210-218

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抄録

原発性胆汁性肝硬変(PBC)は,自己免疫異常に基づく肝疾患で,各種膠原病を少なからず合併する.しかしながら,各種膠原病におけるPBCの合併については不明な点も少なくない.そこで今回,各種膠原病を対象として,PBCの血清診断に必須の抗ミトコンドリア抗体(AMA)を検索し,その臨床的意義を検討した.各種膠原病と診断された302例を対象として,間接蛍光抗体法とELISA法にてAMAをスクリーニングし,さらにWestern blot法にてAMAの解析を行った.AMAは302例中14例(4.6%)と比較的高率に検出され,疾患別には,強皮症で4例,全身性エリテマトーデスで3例,慢性関節リウマチと血管炎で各2例に検出された.PDC-E2抗体(74kDa)は6例に検出されたに過ぎなかったが,BCOADC-E2抗体(50kDa)は10例と多数に検出された.この14例のうち6例に,抗セントロメア抗体が検出された.さらに,14例中9例は経過中PBCの合併は疑われておらず,今回の検討で初めてAMA陽性と判明した症例であった.膠原病の診療においてもPBCの合併を念頭に入れていく必要があると結論された.

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© 2007 一般社団法人 日本肝臓学会
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