2007 年 48 巻 5 号 p. 233-239
症例は31歳男性.上腹部痛を主訴に近医受診.腹部画像診断で認められた肝S4腫瘤性病変の精査目的にて入院.HBV,HCVウィルスマーカー陰性(非B非C)で肝機能異常は認めず.AFP陰性だがPIVKAIIは41mAU/mlであった.血管撮影でS4に径6cm,S6に1cmの腫瘍濃染像を認め,肝細胞癌(HCC)と診断し肝切除を施行した.病理診断はS4腫瘤がHCC,S6腫瘤は限局性結節性過形成(FNH),背景肝は正常であった.HCCとFNHの合併症例の報告は極めて少なく,本例は若年の非B非C正常肝に発生した稀な1例と考えられた.