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肝臓
Vol. 48 (2007) No. 9 P 429-438

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http://doi.org/10.2957/kanzo.48.429

症例報告

症例は56歳男性.B型肝硬変で経過観察をされていたが,2002年3月の急性増悪に対しlamivudine(LMV)の投与を開始し肝機能は改善した.しかし,11月にはLMV耐性HBVによるbreakthrough hepatitisとなり2003年1月よりLMVに加えadefovir(ADV)の投与を開始した.血中HBV DNAは次第に減少し測定感度以下となり肝機能も改善,沈静化した.しかし2003年9月,すなわちLMV開始後18カ月,ADV開始後8カ月後,画像診断で肝細胞癌(HCC)と診断され11月に外科的切除を行った.腫瘍は1.3cm大の単純結節型の中分化型HCCで,非癌部は慢性肝炎で新犬山分類A1 F4であった.免疫染色ではHBs抗原およびHBc抗原は正常肝細胞のみならずHCC細胞にも観察された.術後もLMVとADVを継続投与し3年以上経過しているが,無再発生存中である.本例のように,核酸アナログ投与により血液中HBV DNAが持続的に陰性化し,肝炎が沈静化していてもHCCを合併することがあり注意が必要である.

Copyright © 2007 一般社団法人 日本肝臓学会

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