肝臓
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症例報告
ラジオ波焼灼術後造影パターンの変化を伴い急速に発育進展した肝臓癌の1例
矢田 豊竹内 卓神田 大輔高草木 智史畑中 健家崎 桂吾吉永 輝夫久保田 潤柏原 賢治佐藤 賢樋口 次男
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2009 年 50 巻 2 号 p. 96-102

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抄録

症例は81歳,女性.2007年5月肝ダイナミックCTにて肝S4に径2.4 cm大腫瘍を指摘され精査加療目的に当科紹介.画像所見および肝腫瘍マーカー高値よりC型肝硬変に伴う肝細胞癌と診断し,S4病変に対し人工胸水下に経皮的ラジオ波焼灼術(Percutaneous radiofrequency ablation;PRFA)施行.治療評価CTにて解剖学的占拠部からsafety marginは不十分だが腫瘍部は焼灼野に含まれると判断し退院.3カ月後外来での肝ダイナミックCTにてS4RFA施行部に径3.0 cm大の局所再発病変を認め,第2回入院の上,肝動脈塞栓術に引き続きPRFA施行.評価CTでS4再発病巣は完全焼灼と判定し退院.以後,外来フォローされていた.初回PRFAより7カ月後,CTにてS4RFA後瘢痕部内側に新たに乏血性腫瘍を認め,かつ同腫瘍は急速に発育進展.肝機能障害増悪に加え,閉塞性黄疸,腹水,食欲不振を認め第3回入院.腹部超音波検査,CTにてS4乏血性腫瘍による上部総胆管閉塞,左右肝内胆管の著しい拡張を認めた.減黄目的に総胆管内に金属ステントを留置し,胆道系酵素は一時低下するも,肝癌による肝不全にて永眠.死後肝S4乏血性腫瘍部よりネクロプシー施行.病理診断は肝内胆管癌(Intrahepatic cholangiocarcinoma;ICC)であった.本例は,経過より混合型肝癌に対するPRFA後の再発例と考えられた.RFA施行前後の腫瘍造影パターンおよび発育形式は明らかに変化しており,その原因としてRFA治療が影響した可能性もある.肝癌治療法の選択においては,ICC成分へのRFA後に急速進展例があることを念頭におく必要がある.

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© 2009 一般社団法人 日本肝臓学会
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