80歳,女性.心窩部痛を主訴に近医受診.CT像上,肝左葉に9 cmの占拠性病変が認められた.白血球数とCRP,ALP,LDH値が上昇していたが,腫瘍マーカーは正常範囲内であった.血管造影像上,乏血管性の腫瘍として描出され,Gaシンチ像上,肝内病変にのみ異常集積像が認められた.肝内胆管癌の診断のもとに切除した.腫瘍は白色充実性の腫瘍であり,病理組織検査では異型細胞のびまん性増殖が認められ,酵素抗体法ではLCA,L-26陽性,UCHL-1,CD5,CD10陰性でありDiffuse large B cell type malignant lymphomaと診断された.非癌部肝組織所見は原発性硬化性胆管炎と診断された.術後,エトポシド25 mg/日の投与を継続し術後6カ月間を経過した時点で肝以外に病変はみられないため,最終的に肝原発悪性リンパ腫と診断した.術28カ月後の現在,再発兆候なく通院中である.