肝臓
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症例報告
ステロイド投与にてニューモシスチス肺炎を発症し,PEG-IFNα-2b/リバビリン併用療法が著効した自己免疫現象を伴うC型慢性肝炎の1例
早稲田 洋平平野 桂稲垣 聡子後藤 善則山田 真也三輪 一博金子 佳史土山 寿志
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2010 年 51 巻 12 号 p. 722-729

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抄録

症例は50歳女性,C型慢性肝炎にて当院受診.PEG-IFN/リバビリン(RBV)併用療法の適応を考えたが,抗核抗体(ANA)高値,IgG高値であり自己免疫性肝炎との鑑別のため肝生検を施行した.病理所見上autoimmune dominant,International AIH Groupの診断基準(AIHスコア)にて自己免疫性肝炎疑診であり,ステロイド投与を開始した.ANAは陰性化したが肝障害は改善しなかった.ステロイド投与開始後,発熱,乾性咳嗽が出現した.ニューモシスチス肺炎(PCP)の合併を疑いその治療を開始したところ,肺炎症状は改善した.PCP改善後,PEG-IFNα-2b/RBV併用療法を開始したところ肝障害は改善,HCV RNAも陰性化した.肝疾患におけるステロイド投与によるPCPの合併は稀であり,さらに治療について興味ある結果が得られたので報告した.

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© 2010 一般社団法人 日本肝臓学会
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