2010 年 51 巻 4 号 p. 169-174
症例は52歳,男性.約6年前より高血圧,膝関節痛に対して,アムロジピン,ロキソプロフェンナトリウムを処方されていた.2009年6月上旬より全身倦怠感,食欲不振が出現し近医入院.入院後も黄疸,肝障害が改善しない為,原因精査目的にて当科紹介入院となった.アムロジピン,ロキソプロフェンナトリウムによる薬物性肝障害を疑い,薬物性肝障害診断基準を用いてスコアリングを行った結果,胆汁うっ滞型,スコアは9点:「可能性が高い」と判定した.アムロジピン,ロキソプロフェンナトリウムに対して薬物リンパ球刺激試験(DLST)を施行,このうちロキソプロフェンナトリウムのみ陽性であった.また,肝生検組織像では,小葉内に胆汁栓を認め,門脈域では好中球浸潤,門脈域の線維性拡大を認めた.今回,DLSTおよび肝生検が診断の一助となった,長期アムロジピン,ロキソプロフェンナトリウム服用にて高度の黄疸を伴った薬物性肝障害の1例を経験したので報告する.