肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
原著
インターフェロンβが代償期C型肝硬変の門脈圧,肝線維化マーカーへ及ぼす影響―初期成績―
金沢 秀典楢原 義之福田 健近藤 千紗張本 滉智松下 洋子城所 秀子片倉 玲樹厚川 正則中塚 雄久坂本 長逸
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 52 巻 1 号 p. 7-17

詳細
抄録

保険適応条件を満たす代償期C型肝硬変10例にIFN-βを1年間投与し,IFN-βが門脈圧,肝線維化マーカー,肝組織像,肝機能へ及ぼす効果を前向きに検討した.6例では治療前に部分的脾動脈塞栓術を必要とした.2例がSVRとなった.門脈圧の指標としたHVPGは17.5±11.8 mmHgから治療終了時12.4±4.3 mmHgへと29%有意に低下した.肝生検像は治療終了時には2例がF4からF3へ,5例でA因子の改善を認めた.肝線維化マーカー(ヒアルロン酸,PIIIP,IV型コラーゲン,TGF-β1)は何れも治療中有意に低下し,アルブミン,コリンエステラーゼ等は治療中有意に改善した.しかし投与終了1年後には,SVR例では肝線維化マーカー,肝機能の改善が持続したものの,非SVR例では悪化する傾向を示した.以上より,IFN-βは代償期C型肝硬変の門脈圧を低下し肝線維化マーカーを改善するが,非SVR例では投与終了後にこうした効果は持続せず消失していくと思われた.

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本肝臓学会
次の記事
feedback
Top