肝臓
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原著
標準療法困難C型慢性肝炎症例に対するペグインターフェロンα-2a少量長期療法の経験
河合 勉
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2012 年 53 巻 11 号 p. 699-706

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抄録

高齢,血球数低値の理由からリバビリン併用療法導入が困難,または非著効のC型肝炎症例に対し,ペグインターフェロンα2a単独投与を開始し,2年以上の経過観察を行った84例を対象の有効性,安全性をretrospectiveに検討した.
発癌率は肝癌の既往のない症例で1年0%,2年1.6%,3年1.6%と低率であった.AFP,ALTの中央値は投与前に比し投与96週後において有意な低下が認められた.ウイルス学的効果は84例中31例(37%)で投与中のHCV-RNA陰性化を認め,16例(19%)は2 log以上のHCV-RNA減少を認めた.血小板数の中央値は投与開始前78,000/mm3から投与開始4週後に62,000/mm3と減少を認めるも,48週以降は上昇傾向を示した.
本療法はリバビリン併用療法の導入が困難な症例に対し,HCV-RNA量の減少,ALT・AFP値の改善により発癌抑制が期待できる治療法と考えられた.

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© 2012 一般社団法人 日本肝臓学会
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