2013 年 54 巻 7 号 p. 486-490
症例は73歳,男性.Parkinson病に対し脳深部刺激装置(Deep Brain Stimulators;DBS)を前胸部へ挿入.2010年8月に当院外科で直腸癌に対し低位前方切除術施行.2012年2月のCTにてS4-8の肝転移病変を指摘され,RFA目的に当科入院となった.DBSは治療前にRFAの高周波による誤作動を防ぐために医師用プログラマーにて電源OFFとした.治療中はバイタルサインと患者状態の観察を注意深く行い,Parkinson病の症状である振戦などが出現した場合すぐに対応できるように医師用プログラマーも準備した.治療中には振戦などは出現せず,安全に治療することができた.RFA後,電源ONとし,出力も2.2 vへ変更した.さらにリード抵抗も測定し,治療前と測定値に大きな変化がないことを確認した.肝悪性腫瘍患者の高齢化が進行してきており,今後脳深部刺激装置植え込み患者も増加すると推定される.このような患者で,局所治療の適応がある場合には,厳重なリスク管理を行う事により,RFAを行うことが必要である.