肝臓
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症例報告
四肢の脂肪組織が萎縮した非アルコール性脂肪肝炎にPioglitazone治療が奏効した1例
中山 晴夫池谷 伸一岡本 大祐駒沢 大輔渡部 敬之伊藤 広道土佐 正規大楽 尚弘池田 智之高橋 誠一樋渡 信夫
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2014 年 55 巻 1 号 p. 57-65

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抄録

症例は46歳女性.27歳時に肝障害を認め肝生検で単純性脂肪肝と診断される.44歳より高血圧,高脂血症,脂肪肝の治療をうけるが肝機能改善せず精査紹介となる.BMI 15.8 kg/m2と低体重を認め飲酒歴や拒食症の既往はない.体幹部に比較し顔面や四肢の皮下脂肪が少なく,幼少時よりるい痩を認めた.肝生検にてBrunt分類stage 3小葉改築傾向のある非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と診断された.19年間で単純性脂肪肝から進行したNASHへと進展した.Pioglitazone 15 mg治療開始後に肝機能は正常化し,2年後の肝生検でも炎症や線維化は改善した.肥満を認めない脂肪肝の原因に遺伝的因子が考えられ,最初単純性脂肪肝と診断されても本症例のように進行する例もあり注意が必要である.また,肥満のないNASHでもPioglitazone治療によりインスリン抵抗性や組織学的改善効果を認めた.

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© 2014 一般社団法人 日本肝臓学会
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