2014 年 55 巻 10 号 p. 604-611
症例は63歳,女性.2007年2月にC型肝炎の急性増悪に対して,生体肝移植術を施行した.術後,C型肝炎の再発を認め,同年5月からペグインターフェロン・リバビリン(Peg-IFN/RBV)併用療法を開始した.脾摘を併用し,2011年10月にウイルス学的著効(SVR)を達成した.しかし,IFN終了前から肝機能障害と血清IgG値と抗核抗体(ANA)の上昇を認め,IFN治療後のde novo自己免疫性肝炎(DAIH)が疑われた.精査の結果,ドナー由来のB型肝炎ウイルス(HBV)再活性化およびDAIHと診断され,エンテカビルとステロイドによる治療を行った.肝移植後,IFN治療中に肝機能障害が持続する症例では,DAIHの可能性も念頭に,血清IgG値やANA,肝生検による検索を行うことが重要と考えられた.