症例は先天性両側性傍シルビウス裂症候群にて総合病院定期通院中の10代女性.2年前に季肋部痛に対して超音波検査,血液検査を行うも異常所見は認められず,経過観察となっていた.今回右季肋部痛の増悪を主訴に精査を施行し,肝右葉を占拠する実質部分と液体成分が混在した15 cm大の巨大腫瘍を指摘され,更なる精査加療目的に当院紹介となった.画像所見より未分化肉腫や血管肉腫などを疑い肝生検を施行.病理検査所見では悪性所見は認めず肝過誤腫の診断であったが,疼痛コントロールおよび悪性転化を考慮し,肝右葉切除術を施行した.最終病理組織検査でも肝間葉系過誤腫であった.術後経過は良好であり現在術後1年であるが再発兆候は認めていない.肝間葉系過誤腫は2歳以下の報告がほとんどであり,20歳以上の成人例は散見されるも,本邦における10代の発症報告は非常に稀であり,術前診断含め興味深い症例である.文献的考察を加え報告する.