肝臓
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症例報告
ラジオ波ニードルの絶縁被膜損傷による皮膚熱傷の1例―組織インピーダンスの急激な低下は危険な兆候である―
大掛 馨太飯田 洋也相原 司生田 真一脇 英彦山中 若樹
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2014 年 55 巻 5 号 p. 259-266

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抄録

ラジオ波焼灼療法(以下,RFA;Radiofrequency ablation)中に,ラジオ波ニードルの絶縁被膜損傷によって体表面にIII度の熱傷を生じた症例を経験したので報告する.症例は50歳代,男性.肝細胞癌2結節(S7:14.8 mm, S8:15 mm)に対してRFAを行った.S7結節の焼灼時,焼灼開始から12分経過してもエコー上の焼灼変化および組織抵抗(以下,IMP;Impedance)の上昇が見られなかった.その後,穿刺部の患者体表面部にIII度の熱傷が発見された.使用したラジオ波ニードルを確認したところ,金属エコーガイドによって,絶縁被膜に擦れた痕跡と損傷している部分が見つかり,熱傷の原因と考えられた.この症例のIMP波形の経時的変化を解析すると,通常とは異なり,焼灼開始6分後に急低下し,その後プラトーとなる特殊波形となっていた.絶縁被膜損傷が起これば通常とは異なるIMPの経時的変化が起こるため,術中のIMPモニタリングは絶縁被膜損傷に起因する熱傷の早期発見,回避に有用となる.

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© 2014 一般社団法人 日本肝臓学会
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