肝臓
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症例報告
造血幹細胞移植から64カ月後に投与されたスタチンが発症に関与したと考えられたde novo B型肝炎の1例
森居 真史土肥 容子槇田 智生武田 晋一郎齋藤 秀一岡部 真一郎
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2015 年 56 巻 12 号 p. 661-667

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抄録

症例は52歳女性.2008年12月当院にて急性骨髄性白血病の診断.移植目的に他院紹介となり,2009年6月同種造血幹細胞移植が行われた.移植後,移植片対宿主病と一過性の肝胆道系酵素異常が認められたがその後は著変なく,同院にて半年ごとに経過観察されていた.2014年10月近医にて脂質異常症を指摘されロスバスタチンの内服治療が開始された.1.5カ月後の血液検査で肝機能障害が認められ当科へ紹介.来院時検査にてHBs抗原陽性,IgM-HBc抗体高力価であることから急性B型肝炎と診断し保存的に加療した.核酸アナログ製剤は使用することなく1カ月の経過で肝炎は沈静化し,2.5カ月後に血中HBV-DNAの消失を確認した.後日他院照会にて移植前検査においてHBs抗原陰性,かつHBc抗体およびHBs抗体陽性の既往感染者であったことが判明しde novo B型肝炎と最終診断した.

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© 2015 一般社団法人 日本肝臓学会
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