肝臓
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原著
C型肝炎に対するダクラタスビル・アスナプレビル併用療法中の血清カリウム値の検討―レニン・アンジオテンシン系阻害剤併用の影響
山崎 勇一佐藤 賢柿崎 暁長島 多聞戸島 洋貴橋爪 洋明大山 達也堀口 昇男草野 元康山田 正信
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2015 年 56 巻 7 号 p. 324-331

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抄録

C型肝炎に対するダクラタスビル(DCV)・アスナプレビル(ASV)併用療法中の血清カリウム値上昇における,レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害剤併用の影響を明らかにするため,DCV・ASV併用療法中のC型肝炎27例をRAS阻害剤投与群,非投与群の2群に群別し,臨床学的特徴,治療開始前の腎機能,血清カリウム値,治療中の血清カリウム値の変化を比較検討した.RAS阻害剤投与群,非投与群での年齢,性別,投与期間,合併症の頻度,治療開始前の肝機能,腎機能,血清カリウム値に有意差を認めなかったが,RAS阻害剤投与群で治療中の血清カリウム値が有意に増加していた.RAS阻害剤投与群では3例(33%)の症例で高カリウム血症を発症した.また血清カリウム値の変動がない例と比較して,血清カリウム値の増加した例で糖尿病の合併が多い傾向があった.RAS阻害剤併用中のC型肝炎においてDCV・ASV併用療法を開始する際には,血清カリウム値の増加に留意する必要がある.

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© 2015 一般社団法人 日本肝臓学会
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