肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
症例報告
自然経過で縮小した多臓器(肝,肺,腎)炎症性偽腫瘍の1例
五十嵐 俊三土屋 淳紀中野 応央樹罇 陽介山本 幹横山 純二横尾 健上村 顕也高村 昌昭川合 弘一山際 訓寺井 崇二
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 57 巻 6 号 p. 287-294

詳細
抄録

症例は関節リウマチの診断で外来加療中の76歳女性.当科受診2カ月前から全身倦怠感,1カ月前から軽度右季肋部痛を自覚していた.近医を受診し,腹部超音波検査で肝右葉に35 mm大の腫瘤を指摘された.造影CTでは肝右葉から右腎に及ぶ造影効果の乏しい腫瘤に加え,両側腎,左肺に腫瘤を認めた.悪性腫瘍を疑い,肝生検目的で当科に入院した.腹部超音波検査では約2週間で肝腫瘤が16 mmに縮小していたが,診断目的で経皮的肝針生検を施行した.検体内には軽度炎症細胞浸潤を伴う高度線維化領域を認めたが,腫瘍性病変は指摘できなかった.組織像に加え画像検査で肝,腎,肺いずれの病変も縮小したことから,炎症性偽腫瘍と診断し経過観察の方針とした.本疾患はあらゆる臓器を原発とする可能性があり,しばしば悪性腫瘍との鑑別が困難で切除に至る症例もある.多発症例も報告されているが,検索し得た限りでは3臓器にわたる多発症例はなく貴重な症例と考え報告する.

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top