肝臓
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症例報告
ラジオ波焼灼療法後の肝細胞癌大動脈周囲リンパ節転移に対する1切除例
上村 淳岡野 圭一須藤 広誠浅野 栄介岸野 貴賢山本 尚樹赤本 伸太郎藤原 理朗臼杵 尚志鈴木 康之
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2016 年 57 巻 7 号 p. 345-352

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抄録

症例は54歳,男性.B型慢性肝炎に対して治療中であった.肝細胞癌(以下,HCC)に対して前医でラジオ波焼灼術(以下,RFA)が施行された.6カ月後に腫瘍マーカーの上昇を認め,CTで肝内には新規病変は認めないものの,膵頭後部及び大動脈周囲に腫大したリンパ節を認め当院紹介となった.その他の部位に転移が無い事を確認しリンパ節摘出術を施行した.2カ所のリンパ節はHCCのリンパ節転移と組織診断された.術後経過は良好で,現在術後2年無再発生存中である.近年,HCCに対する局所療法としてRFAが普及している一方で,特徴的な肝外再発例も報告されている.HCCのリンパ節転移に対する外科切除の適応と意義に関してはまだ確立していないが,完全切除が可能であるならば,大動脈周囲リンパ節転移でも切除により良好な経過を得られる可能性がある.今回我々は切除を選択して良好な経過を得ている症例を経験したので,その治療適応に関する文献的考察を加えて報告する.

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© 2016 一般社団法人 日本肝臓学会
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