2017 年 58 巻 10 号 p. 559-566
症例は35歳女性.2015年11月,人間ドックでの超音波検査にて肝内側区域に径20 mmの低エコー腫瘤を指摘された.血液検査所見では腫瘍マーカーを含めて正常範囲で,肝炎ウイルスマーカーも陰性であった.単純CTでは肝S3/4境界部に低吸収の腫瘤を認め,動脈相で造影されず平衡相にかけて漸増性に造影されていた.また,腫瘤周囲の組織が動脈相で濃染され平衡相では低吸収であった.造影MRI検査では腫瘤は造影効果に乏しく,腫瘤周囲の組織は動脈相でのみ造影された.画像所見から良悪性の鑑別がつかず,肝左葉切除を行った.病理組織検査では異型に乏しいリンパ球が濾胞を形成しており,構造異型も認められずreactive lymphoid hyperplasia(RLH)の診断となった.本症例はこれまで報告されたRLHとは異なった画像所見を呈しており,また本邦における肝RLHの報告例としては最若年であった.