症例は39歳男性.37歳時に食道静脈瘤破裂で他院入院の際,両側肺門リンパ節腫脹および肺野粒状影を認め,リンパ節生検で非乾酪性肉芽腫を認めたため,肺サルコイドーシスの診断となった.食道静脈瘤のフォローアップと門脈圧亢進症の原因精査目的に当科紹介となった.腹腔鏡検査では肝表面は広範に凹凸不整で辺縁は鈍であった.また肝表面には粒状の白色結節が多数見られ,肝辺縁で一部癒合し斑状であった.同時に施行した肝生検では,非乾酪性肉芽腫を認め,肝表面の所見と合わせて,肝サルコイドーシスの診断に至った.肉芽腫は門脈域に認めており,門脈の壁外性圧迫や閉塞により門脈圧亢進症を来したと推定された.ステロイドによる加療を開始し,1年近く経過しているが,肝障害は軽度改善し,食道静脈瘤は増悪なく経過している.肝サルコイドーシスに門脈圧亢進症を合併することは稀であり,腹腔鏡検査にて合併症なく診断できたので報告する.