2018 年 59 巻 10 号 p. 554-562
近年,肝硬変の原因としてNAFLD/NASHの割合が増加してきている.NAFLDでは肝線維化進展度が予後と相関しているが,全てのNAFLD症例に肝生検を施行することは現実的ではなく,非侵襲的で繰り返し施行可能な体外式肝硬度測定が注目されている.また2型糖尿病は線維化進展のリスク因子であり,NAFLDの肝障害に対してSGLT2阻害薬の有効性が報告されている.今回の検討ではSGLT2阻害薬Luseogliflozinの内服開始前後に肝硬度を測定できたNAFLD10例について,各種検査値と肝硬度値について比較した.内服開始後24週以上の経過でBMI,HbA1cの低下とともに肝障害の軽快,FIB4 indexおよび肝硬度値も有意差をもって低下した.肝硬度値は肝線維化以外の影響も受けるため,肝硬度値の低下は肝線維化の改善,肝炎の抑制,肝脂肪沈着の改善などの影響が考えられた.