肝臓
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症例報告
無治療で20年間の経過を観察しえている肝原発類上皮血管内皮腫の1例
山口 将太津久井 舞未子三浦 光一森本 直樹大竹 俊哉高岡 良成村山 梢渡邊 俊司野本 弘章福嶋 敬宜礒田 憲夫山本 博徳
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2018 年 59 巻 12 号 p. 692-699

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抄録

症例は61歳女性.1998年に近医で肝腫瘤を指摘され,2001年に精査目的に当科紹介.画像所見で多発する肝腫瘍を認めた.診断目的に行った肝生検で腫瘍細胞は血管内皮系マーカーであるCD31,Factor VIII,CD34が陽性より,類上皮血管内皮腫(Epithelioid hemangioendothelioma:EHE)と診断した.肺にも小結節を複数認め,経過から肝原発で肺転移を疑った.手術適応はなく,また有効な化学療法も存在しなかったため,十分なインフォームドコンセントのもと,経過観察とした.経過観察中,腫瘍の進展はほとんど見られず,また造影CT検査で当初認められた腫瘍のリング状エンハンスメントも現在は消失している.近医での初診を起点とすると,無治療で20年間の経過観察しえているEHEの1例であり,貴重な症例と考え報告する.

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© 2018 一般社団法人 日本肝臓学会
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