2019 年 60 巻 11 号 p. 405-413
サルコイドーシスは肺,心臓,眼,皮膚等に病変が見られることが多いが,肝臓に病変を有する症例も存在する.肝サルコイドーシスの診断はしばしば難渋することが多いが,肝機能障害が契機となり,確定診断には肝生検が有用である.今回,当院にて肝機能障害を契機に診断されたサルコイドーシスの5例を既報例と併せて検討した.頻度は中年女性に多く,多くの症例でALP異常優位の肝機能障害を認めた.治療としてステロイドやウルソデオキシコール酸が用いられたが,肝硬変へ進展し死亡する症例も認められた.組織学的に炎症が強い場合,ステロイド投与にも関わらず肝硬変へ進展する症例がある.またウルソデオキシコール酸には病状の進行を遅延させる可能性が示唆されている.