今回われわれは胃癌術後の肝転移として切除したが,病理組織学的診断は肝硬化性血管腫であった肝腫瘤症例を経験した.症例は85歳,男性.胃癌(T4a,N3,M0,stageIIIC)術後のフォローアップCT検査で肝S7に単発性の乏血性腫瘤が認められた.転移性肝癌と診断しWeekly PTX 50 mg/bodyによる全身化学療法を行ったところ縮小したが,他に新規病変が出現しなかったため肝部分切除術を施行した.病理組織学的診断は肝硬化性血管腫であった.肝硬化性血管腫は海綿状血管腫が線維化,硝子化などの退行性変化をきたした比較的まれな病態である.癌の術後に新規病変が認められた場合や遠隔転移の診断での全身化学療法施行時においても,常に鑑別を意識して画像評価を行うべきと考えられた.