肝臓
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症例報告
肝細胞癌十二指腸浸潤に対するソラフェニブ治療後に生じた肝十二指腸瘻を内視鏡的に閉鎖しえた一例
井本 効志国府島 庸之倉重 智之正月 泰士田代 茂樹鈴木 秀生桒野 哲史加藤 正樹小川 佳宏
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2019 年 60 巻 3 号 p. 91-98

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抄録

症例は79歳女性.肝細胞癌術後およびC型肝硬変SVR後で当院通院中であった.2017年10月黒色便を主訴に受診し,精査の結果肝細胞癌の再発とその十二指腸浸潤部からの腫瘍出血と診断された.浸潤部からの出血は自然止血した.動脈塞栓術や外科的治療の適応は乏しいと判断され,ソラフェニブ400 mg/dayを開始した.2018年1月に腹部CTおよび上部消化管内視鏡検査では,再発癌部は縮小し十二指腸浸潤部には肝十二指腸瘻が出現していた.瘻孔閉鎖のためポリグリコール酸シートとフィブリン糊による内視鏡的瘻孔閉鎖処置を行い,さらに瘻孔周囲をアルゴンプラズマ凝固にて焼灼した.瘻孔は縮小傾向を示しソラフェニブ治療を継続したところ,同年5月には瘻孔は閉鎖した.十二指腸浸潤を伴う肝細胞癌の縮小とともに生じた肝十二指腸瘻を,内視鏡的に閉鎖しえた症例を経験したので報告する.

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© 2019 一般社団法人 日本肝臓学会
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