症例は62歳男性.黄疸,肝腫瘍の精査目的に入院となった.造影CTで肝S8に50 mm大の早期濃染およびwash outを呈する腫瘍を認めた.また,同様の造影効果を示す腫瘍が胆管内に充満しており,胆管内発育型肝細胞癌と診断した.背景肝はB型慢性肝炎であった.高度の黄疸を認めたため,減黄処置と肝動注化学療法(TAI)を先行させ,黄疸の改善後に肝動脈化学塞栓療法(TACE)を行った.腫瘍は縮小し,その後肝右葉切除術を施行した.しかし,術後7カ月の造影CTで断端部胆管内に再発を認めた.再度黄疸をきたしていたため,TAIを先行し,TACEを追加したところ腫瘍は消失し,手術から3年経過した現在も再々発は認めていない.胆管内発育型肝細胞癌術後の胆管内孤立性再発はまれであり,これまでに血管内治療が奏効した報告はない.胆管内孤立性再発に対して血管内治療のみで長期寛解を得た貴重な症例と考えられた.