肝臓
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原著
非肝臓専門医へのデプスインタビューに基づく当院での「肝炎用診療情報提供書」運用による成果
井上 貴子是永 匡紹井上 淳本田 浩一近藤 泰輝的野 智光榎本 大松波 加代子飯尾 悦子松浦 健太郎藤原 圭野尻 俊輔田中 靖人
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2019 年 60 巻 7 号 p. 219-228

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抄録

全国的にB型肝炎患者の専門医への紹介率が低いことが課題である.我々は2017年2月から5月,個人の動機や思考のプロセスを探り出す手法・深層面接法(デプスインタビュー)で,非肝臓専門医に聞き取り調査を行なった.B型肝炎患者を紹介する医師は23名中14名(61%)で,内科系17名中13名(76%),外科系6名中1名(17%)と差がみられた(p=0.036).紹介しない理由に診療情報提供書を書く時間の不足・紹介方法の不識を,紹介率向上への工夫として診療情報提供書の簡素化・平易な診療予約制度をあげる医師が多かった.

この結果から当院では同年8月,短時間で記載できる「肝炎用診療情報提供書」の運用を開始した.導入後,B型肝炎に限らずC型肝炎・その他も含めた肝疾患全体の紹介患者数は前年比1.6倍に増加した.厚生労働省研究班で水平展開を試みており,データ蓄積からより効率的なシステムの構築が期待できる.

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© 2019 一般社団法人 日本肝臓学会
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