2022 年 63 巻 5 号 p. 232-237
症例は20代男性.高ビリルビン血症,広汎性発達障害で小児科通院中に腹部超音波検査で先天性門脈体循環シャントが疑われた.腹部造影CT検査で門脈左枝と下大静脈とのシャントが確認され,先天性門脈体循環シャントの中でも静脈管開存症と診断された.また3年程前から高アンモニア血症も伴っておりIVRによるシャント塞栓術を行う方針となった.シャント径が漏斗状に拡張していたため,プラグと金属コイルを併用してシャント塞栓を行った.術後経過として肝予備能・血中アンモニア値の改善が得られた.門脈体循環シャントの治療として,以前より外科的結紮術が施行されてきたが侵襲が高いことから,近年ではIVRによるシャント塞栓術が報告されている.今回我々はIVRの手技上の工夫により,短径のシャント血管を確実に塞栓することができた.