肝臓
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症例報告
好酸球増多症候群に対するステロイド治療中に発症した高齢男性2型自己免疫性肝炎の1例
岩村 伸一内多 訓久岡﨑 三千代賴田 顕辞
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2025 年 66 巻 6 号 p. 249-256

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抄録

症例は80歳代,男性.気管支喘息,好酸球増多症候群のため約7年前からステロイド治療を開始し,プレドニゾロン5 mg/日の維持療法中に肝炎を発症したため,2カ月後に当院へ紹介となった.その3カ月後に著明な黄疸を来たし,肝生検では門脈域に著明なリンパ球,形質細胞浸潤を伴い,小葉改築傾向のある慢性活動性肝炎で,血清IgGの上昇,抗LKM-1抗体陽性などから2型自己免疫性肝炎と診断した.ステロイドを増量して治療したが早期に肝硬変に進展し,感染症,肺水腫を合併して発症1年後に死亡した.本邦における2型自己免疫性肝炎は稀で,その臨床像は不詳であるが比較的急速な転帰をたどることもあり,高齢者や男性,免疫抑制剤使用中の患者においても原因不明の肝障害では鑑別に挙げる必要があると考えられた.

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© 2025 一般社団法人 日本肝臓学会
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