15 巻 (1974) 6 号 p. 386-393
症例は33歳の女性で,経口避妊薬(Anovlar)を服用したところ,第2サイクルの終了間際に嘔気,全身倦怠感,〓痒感が出現してきたため当院を受診し,黄疸と肝障害を指摘されて入院した.第35病日の肝生検の結果得られた病理組織標本では,胆汁うっ滞像,spotty necrosisに加えて本例に特異的所見である多核巨細胞が多数みられた.巨細胞はしばしば乳児肝炎の特徴像としてみられ,成人ではまれとされているが,Liberらの例を初めいくつかの報告がある.巨細胞の出現機序については,融合説,核分裂説などが考えられているが,それらのいずれとも確証がない.本例でもそれについての詳細な検討がなされたが,どのような機序によるものか明らかにしえなかった.